渡辺淳一 略歴
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後,母校の整形外科講師となり,医療のかたわら小説を執筆。
1970年「光と影」で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞を,2003年には菊池寛賞などを受賞する。
作品には初期の医学を題材としたものから,歴史,伝記的小説,男と女の本質に迫る恋愛小説と多彩で,医学的な人間認識をもとに,華麗な現代ロマンを描く作家として,晩年まで文壇の第一線で活躍した。
141冊に及ぶ著作を発表,1980年には文藝春秋社から渡辺淳一作品集全23巻を,さらに1995年には 角川書店から渡辺淳一全集全24巻を刊行し,1997年2月刊行の「失楽園」(講談社)は,日本経済新聞に連載中から話題を呼び,260万部を突破。その題名は1997年の流行語大賞に選ばれた。
また,1998年6月には渡辺淳一文学館が故郷の札幌に完成し,一般公開されている。
渡辺淳一 略年表
年度 | 年齢 | 出来事 |
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昭和8(1933)年 | 北海道空知郡砂川町(現 上砂川町)に生まれる | |
昭和21(1946)年 | 13歳 | 札幌第一中学校入学。 国語教師を通じて文学に触れる。 |
昭和25(1950)年 | 17歳 | 札幌南高等学校時代。 のちに『阿寒に果つ』のモデルとなる女生徒と出会う。 |
昭和27(1952)年 | 19歳 | 北海道大学理類に入学。 |
昭和29(1954)年 | 21歳 | 札幌医科大学医学部に入学。 処女作『イタンキ浜にて』を発表。 |
昭和32(1957)年 | 24歳 | 同人雑誌「凍檣」に参加。 (6月号より「くりま」と改称) |
昭和34(1959)年 | 26歳 | 整形外科学を専攻し,医師国家試験に合格。 『境界』で道内文芸同人誌秀作選考。 『人工心肺』がテレビ・ドラマ誌脚本募集に入選し,テレビ放映される。 |
昭和39(1964)年 | 31歳 | 『華やかなる葬礼』で道内同人誌秀作に選考。 |
昭和40(1965)年 | 32歳 | 『華やかなる葬礼』を改稿した『死化粧』で第12回新潮同人雑誌賞を受賞。 |
昭和41(1966)年 | 33歳 | 『死化粧』が第54回芥川賞候補となる。 |
昭和42(1967)年 | 34歳 | 『霙』が第57回直木賞候補となる。 |
昭和43(1968)年 | 35歳 | 『訪れ』が第58回芥川賞候補となる。 |
昭和44(1969)年 | 36歳 | 札幌医科大学講師を辞職。 |
昭和45(1970)年 | 37歳 | 『光と影』で第63回直木賞を受賞。 |
昭和46(1971)年 | 38歳 | 『リラ冷えの街』刊行,“リラ冷え”が季語として定着する。 |
昭和47(1972)年 | 39歳 | 『野分け』『氷紋』を発表。 |
昭和49(1974)年 | 41歳 | 『白き旅立ち』『まひる野』を発表。 |
昭和50(1975)年 | 42歳 | 『遠き落日』を発表。 |
昭和52(1977)年 | 44歳 | 『女優』を発表。 |
昭和54(1979)年 | 46歳 | 『くれなゐ』を発表。 |
昭和55(1980)年 | 47歳 | 『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。 |
昭和57(1982)年 | 49歳 | 『化粧』を発表。 |
昭和58(1983)年 | 50歳 | 『ひとひらの雪』刊行後,“ひとひら族”という造語が生まれる。 |
昭和59(1984)年 | 51歳 | 『化身』を発表。 |
昭和61(1986)年 | 53歳 | 『化身』刊行後,「新耽美派文学」として高い評価を受ける。 『静寂の声ー乃木希典夫妻の生涯』で文藝春秋読者賞を受賞。 『別れぬ理由』を発表。 |
昭和62(1987)年 | 54歳 | 『桜の樹の下で』を発表。 |
昭和63(1988)年 | 55歳 | 『メトレス 愛人』『男というもの』を発表。 |
平成2(1990)年 | 57歳 | 『うたかた』刊行後,“うたかた族”という造語が生まれる。 |
平成5(1993)年 | 60歳 | 『春の別れ』を発表。 |
平成7(1995)年 | 62歳 | 『失楽園』を発表。 |
平成9(1997)年 | 64歳 | 『失楽園』が映画化・テレビドラマ化され,一大ブームとなる。 “失楽園”が平成9年度新語・流行語のグランプリを受賞。 |
平成10(1998)年 | 65歳 | 渡辺淳一文学館 開館。 |
平成15(2003)年 | 70歳 | 紫綬褒章受章,第51回菊池寛賞受賞 |
平成18(2006)年 | 73歳 | 『愛の流刑地』刊行 |
平成19(2007)年 | 74歳 | 『鈍感力』刊行百万部突破し,流行語大賞トップテンに挙げられる。 |
平成20(2008)年 | 75歳 | 『熟年革命』刊行 |
平成21(2009)年 | 76歳 | 『欲情の作法』刊行 発売1週間で23万部を突破 |
平成22(2010)年 | 77歳 | 『幸せ上手』刊行,『孤舟』刊行 |
平成23(2011)年 | 78歳 | 『天上紅蓮』刊行 |
平成25(2013)年 | 80歳 | 『愛ふたたび』刊行 |
平成26(2014)年 | 80歳 | 4月30日死去(享年80歳) |